大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和25(あ)181 判決

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人松野祐裔の上告趣意について。

論旨にいう違法性の認識の欠如の事実の主張が単なる事実乃至犯意の否認に帰す

るか否か、或いは更にいわゆる法律上犯罪の成立を妨げる理由となる事実の主張に

あたるかどうかについては、所論引用の大審院判決はいずれも判示していない。こ

れ等の判決が旧刑訴法第三六〇条第二項にいわゆる「法律上犯罪の成立を阻却すべ

き原由たる事実上の主張」について「犯罪構成要件以外の事実にして法律上犯罪の

不成立に帰すべき原由たる事実上の主張を意味する」旨判示していることは所論の

とおりであるが、原判決の「犯罪構成要件あるにも拘らず犯罪の成立を阻却する原

因として法律上規定せられたものを指称」するという判示も、前掲判示と異なる趣

旨に解すべきいわれはなく、畢竟犯意乃至事実の否認はいわゆる法律上犯罪の成立

を妨げる理由となる事実の主張にあたらないという原判決の判断は正に所論引用の

判決に適合したものである。それ故所論判例違反の主張は採用できない。

右の次第で論旨には刑訴第四〇五条の上告申立の理由がないこと明らかであると

認められるのみならず原判決には刑訴第四一一条を適用すべき事由も見出されない

から同法第四〇八条第一八一条に従い主文の通り判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。

昭和二五年一〇月二四日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

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裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

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